日野の家-宮脇檀住宅を住み継ぐ-
東京都日野市の高台に建つ、建築家・宮脇檀による戸建住宅の改修計画である。
目の前に広がる公園の緑へと向かって大きな開口部が設けられたこの住宅は、その断面構成により外部環境を丁寧に室内へ引き込む、静かで伸びやかな佇まいを持っていた。
RC擁壁と地下車庫が一体となった構造の上に建物が乗る形式であるため、基礎部に沈下が生じていることが判明した。設計者として予算内で対応できる沈下修正の方法を事前に整理し、リスクと対策を購入前に可視化することで、買主は安心してこの建築を引き継ぐ判断ができた。
改修において大切にしたのは、宮脇氏が設計に込めた空間の意図を読み取り、それを次の住まい手の生活へと接続することである。
晩年の成熟した氏の洗練されたディテールや色使いを丁寧に読み解きながら、そこにもたらされる効果を最大限引き出すために、あるものは残しながら、次の住まい手が30年,40年新たに長く住めるように解体・空間の再構成を行なっている。
また、氏の特徴とも言えるトップライトやハイサイドライトが際立つような、時間によって見え方の変わる塗装やタイル仕上を採用した。
保存ではなく、「住み継ぐこと」を選択したお施主様への最適解を考えたプロジェクトであった。
住まい手が変わり、手が加わることで新しい価値を生み出しながら、時間の中で丁寧に更新されていく住宅である。
撮影:AKIRA NAKAMURA
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